2011年10月12日水曜日

書評:すばらしい数学者たち

先日、ふと思い立って、次の定理を、より初等的な定理・定義・公理のみを用いて証明できるか、やってみました。
・円周角の定理
・接弦定理
・中点連結定理
・三平方の定理(ピタゴラスの定理)
・ヒポクラテスの定理
・正弦定理
・余弦定理

いずれも、中学〜高校レベルの幾何学で証明可能な定理なので、自分が証明できないと大変まずいのですが、特に苦労することなく証明できました。

しかし、こんなふうに数学をふと思い出して楽しむ人は少ないのではないかと思います。実際、私の友人で文系に進んだ人の話などを聞くと、数学から離れて久しいということです。

そんな人にぜひ読んでもらいたいのが
こちら、矢野健太郎氏の「すばらしい数学者たち」です。
私は新古書店にて、100円で購入しましたが、古びておらず(歴史の話だから古びようがない)、数学を知るのには大変良い本であると感じました。小中学生、または高校生に、ぜひ一読してもらいたい本の一つです。とりわけ、数学など大嫌いだ、という人に。

私は理科系で、数学についてもそれなりに色々学ばせていただいているので、旧聞に属することが多い本ではありました。しかし、いくら知っていても、これを系統的にまとめて、興味深く書くことは難しく、それを上手くなさったのが矢野先生であると思います。

どの話も短くまとまっていて、数式の出てくる話と出てこない話がありますが、この本では数式は非常に小さなウェイトしかしめません。数式はほとんど読み飛ばしてしまっても大丈夫なのです。もし、ある程度興味があるならば、数式も飛ばさず読んでみたり、数学に造詣のある隣人に聴いてみたりして、その興味を広げていける作りになっていると思います。名著だと思いました。

2 件のコメント:

大阪のオバチャン さんのコメント...

面白そうですね。数学は好きでしたが、文系進学してしまったので離れて久しいです。
イラストが又、親しみやすくて好きです。

達哉ん/Tatuyan さんのコメント...

>大阪のオバチャン さん
ありがとうございます。
著者の矢野先生は啓蒙書も多く書いておられるのですが、これは数学史の啓蒙書という感じで、「数学人物列伝」みたいな感じで読むことが出来ます。
書かれた当時の状況で書かれているため、30年ほどのギャップがありますが、それでも読みやすいです。

私が唯一、現在にそぐわない記述と思ったのは次の点です。
フェルマーの項でフェルマーの大定理が紹介されているのですが、この本では未証明ということになっています。これは矢野先生がお隠れになったのがワイルズの完全な証明が出る前年だったため致し方ないところですね。